
CHIGASAKI Coffee Story 〜ナチュラル脱穀と試飲〜
さて、おイシイ農園さんで収穫したコーヒー。
まだナチュラルのサンプルができていません。
ナチュラルというのは、コーヒーを赤い実のまま乾燥させる精製方法のことで、すでにこの状態で1ヶ月ほど天日干しを続けているロットがあるんですが、これが一向に乾く気配がない。というか、いつまでたっても果肉がレーズンやデーツのようなねっとりとしたドライフルーツ状態で、どこまで乾かしていいのやらよくわからない。
色々調べても2週間とか1ヶ月とか、はっきりしません。

考えてみれば、その土地の気候(温度・湿度・日照時間など)によって大きく変わるのは当然のことと思います。
4月末から天日干しを始めたんですが、その後あまり気温も上がらず、日照時間もそれほど長くなかったことも影響しているかもしれません。
たまたま先日、SCAJ(Specialty Coffee Association of Japan)の講習を受けてきまして、ここぞとばかりにコーヒー豆バイヤーをされているという講師の方に尋ねたところ、「果肉がカラカラになるまで」とのこと。
でもカラカラにするにはおそらく、もっと長い日照時間と高気温・低湿度の状態が続くか、あるいは乾燥機にでもかけて強制乾燥させるしかないのかもしれません。
ハニー精製(果肉を剥いでヌルヌルのミューシレージを残した状態で乾燥させる手法)の豆も、晴れて気温の高い日中はカラカラになるんですが、朝晩や湿度の高い日はすぐにネトネトに戻ってしまう。
湿気を吸収すると、すぐに戻るんですよね。
そしてもう一つ問題が。
それは、このねっとりした状態での脱穀方法。
ウォッシュトであればすでに家庭用精米機で脱穀できることを実証済みなんですが、こんなねっとりした果肉を果たして精米機で脱穀できるのか。
果肉を手で剥くのもべたべたとしてひと苦労なわけですが、中のコーヒー豆の色はそろそろいい頃合いのようにも見えます。
とにかく、このまま手をこまねいていても埒が明かないので、ええいままよ!と勢いでやってみることにしました。
それではナチュラルの脱穀です!

家庭用精米機にこれくらい入れてみます。
あまり一杯にすると負荷がかかりそうなので。

ガーッ!
分づきも量もMAX設定です。

数分回して終了したところ。
お、ある程度は剥けてる様子。いけるか?

・・・と思ったら、剥けてないチェリーがこんなに残ってました。
この子たちを再度精米機にかけても剥ける様子がないので、あえなく手動脱穀に切り替え。

ねとーとした果肉を剥いて中から一粒一粒コーヒー豆を取り出します。
いやーこれは大変。

うーん。やっぱり専用の機械がないとダメなのか?
先日おイシイ農園さんで収穫してからお預かりしてきた豆、大部分をナチュラルで乾燥中なんだけど、どうしよう汗

2回に分けて脱穀し、さらに不良豆を取り除いて、全部で152g取れました。
脱穀前が445gだったので、約3割くらいになる感じですね。
収穫時の重量も計測しておくべきでした。

ちなみに剥いた果肉はカスカラ(スペイン語で「皮」「殻」の意)と呼ばれていて、煮出してカスカラ・ティーとして楽しむことができます。
現地では一部堆肥として利用される他はほとんど廃棄されるそう。
またその大量に廃棄されたカスカラが水質汚染を引き起こすなどの問題も発生しているとのこと。
イエメンなど一部地域では伝統的に飲まれてきたそうですが、こうして加工して副産物として販売することで現地の課題解決(環境改善・農家さんの収益向上)に繋げる取り組みも出てきていますよ。

ということで、カスカラ・ティーを作ってアイスでいただいてみました。
他社さんのカスカラはローズヒップのように甘酸っぱい、とのことですが、こちらは酸味が全くと言っていいほどありませんでした。
んーどこかで飲んだことのある味・・・ステビアを加えたルイボスティー?マテ茶?
香りもなんとなく豆を煮たような、そんなクセが少々あったので、オレンジスライスを入れてみたところ、良い感じになりました。
レモン果汁だともっといいかも。
カスカラはポリフェノールなどの栄養成分が豊富で、スーパーフルーツとしてもその価値が見直されています。
他にも、ウォッシュトとハニーで精製する過程で発生したカスカラも天日乾燥中です。
近日中にCT店舗でもご提供予定ですので、見かけたらぜひ試してみてくださいね♪
さて次はいよいよ、ナチュラルの焙煎です!

よくあるナチュラルの生豆はもう少し黄色がかった色をしているんですが、こちらはウォッシュトに近いような色合い。
ブラジルのパルプトナチュラルの豆に似ているかも。

30gをサンプル焙煎します。

アナエロビックはハイローストあたりが良かったので、こちらもハイローストで。


カッピング。
バニラやナッツ、甘い果実や若干のスパイスのような香り。
イエメンモカのような印象です。
酸質は、アナエロビックの時の金柑っぽさよりも、ベリー系の濃度のある酸を感じます。
そして若干のミントの印象。
口当たりも本当にクリーンで、上品な甘いアフター。

ドリップでも淹れてみました。
やはりとても美味しい。
この後、ミディアムでも焼いてみましたが、こちらはもう少しフローラル系の香りとより輪郭のある、すっきりとしたローズヒップやピーチのような酸質を感じました。
冷めてくると酸が穏やかになり、ブラウンシュガーのような甘さをよりはっきりと感じることができましたよ。
個人的にはハイローストかなと思いましたが、これはぜひ皆さんにも飲んでいただきたい!
まだまだ乾燥中のロットがあるので、その精製が完了したら、何らかの形で皆さんにもお試しいただけるようにしたいと考えています。
どうぞお楽しみに!!