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コスタリカ〜ベネズエラ コーヒー・カカオ農園訪問記 ベネズエラDay2前編

今日は早朝から車で4時間ほどかけてカカオ豆の産地パタネモ村へ移動します。

パタネモは、首都カラカスの西に位置するカリブ海に面した小さな村。

クリオロ・ハイブリッド種という希少なカカオの産地で、友人のAlexは数年前から、この村のカカオを直接取引(ダイレクト・トレード)で日本に輸入することで、雇用・教育を含めた彼らの生活環境と自然環境を改善する様々な取り組みを行っています。

今回は、その取組の一つ、日本の消費者が購入するチョコレートバー一本につき、一本のカカオの木を植える「1 Bar for 1 Tree」というプロジェクトが、1000本の植樹を完了するという一つの節目を迎えると同時に、パタネモがベネズエラで4箇所目のカカオの原産地証明発行地として認証されたことを祝う、記念すべき訪問だとのこと。

ご一緒させてもらえるなんて大変光栄なことです。

ちなみにCTでも、昨年からAlexの作るPatanemo産カカオ100%のクーベルチュールを取り扱っていて、ホットチョコレートで提供したり、成形してチョコレートとして販売したりしています。

コーヒーとカカオは、生産される地域やその歴史的背景、精製処理が極めて似ているため、僕としてはまるで親戚のような作物だと感じていて、今回の旅ではカカオ農園の訪問も大変楽しみにしていました。

さて、首都カラカスから出る前にガソリンスタンドに寄りますが、ここでガソリンをタンクにも給油して積んでいきます。

地方によってはスタンドが全然なく、その場合はこうしてポリタンクに積んでいかなければならないのです。

世界一の原油埋蔵量を誇る国だというのに不思議です。

調べてみると、前大統領のチャベス政権のときからの反米社会主義政策のもと、外資系の石油会社を国有化したところ、新規の油田開拓や経営、設備更新が滞り、石油生産量が激減したそう。

加えてモノの価格統制を実施することで国内産業が弱体化、国家財政が立ち行かなくなり、貨幣をたくさん刷った結果最大200万%超というもはや意味不明のハイパーインフレに。

さらにそこに追い打ちをかけたのが米国の経済制裁(海外資産凍結など)。

国民の95%以上が貧困に陥り、国民の4分の1近く(これまでに770万人と推定)が難民として国を去ったそうです。

現政権のマドゥロ大統領もかなり独裁色の強い政治手法が問題となっているようで、状況はあまり改善していないとのことですが、果たしてこの短い滞在期間の最後にどんな印象をもつことになるんでしょうか。

ガソリンをたっぷり積んだらいよいよ出発。

ハイウェイを一路西に進みます。

ハイウェイは比較的綺麗に維持されている印象。

途中、朝食に立ち寄ったサービスエリア。

パタネモに行くときはいつもここを利用するようです。

アレパというトウモロコシ粉のパンに好みの具材をぎっしり詰め込んだもの。

ビーフ、チキン、チーズ、豆の煮込み、サラダ、などなど。

味はクセもなく大変美味ですが、まあとにかくボリューミー!

これ、日本でもうけると思うけどな。

近所にあったら絶対通うw

お値段は、コーヒーと合わせて$10くらい。

ごく普通のサービスエリアの庶民的なファストフードかと思いますが、価格は日本と変わらない印象です。

ちなみに2023年9月の記事(朝日新聞2023年9月21日)によると、ベネズエラの最低賃金は月給6ドル。月給です。

「インフレの最悪期は脱したとはいえ、2023年も物価上昇率は前年比数百%に上る見通しだ。国外に逃れる国民は700万人を超えた。」

ベネズエラ中央大の教授の月給が40ドル。

「ベネズエラには二つの世界がある。5%の華やかな世界と、95%の庶民や貧民が住む世界だ。」

とのこと。

いかに凄まじいインフレかということがよくわかります。

こういうところでさえ利用できるのはごく一部の人なのかもしれません。

ちょっと僕には想像の範囲を超えていて、理解が追いつきません。

複雑な思いを抱きつつ、一路目的地へと向かいます。

途中、ハイウェイ沿いに車やトラックの長い行列が。

これは、ガソリンスタンドの順番待ち。

スタンドはあっても、ガソリンがないので補給されるのをひたすら待っているそうです。

だから首都圏内のスタンドでタンクに入れて積んでいくわけです。

ハイウェイの出口の料金所手前では軍(警察?)による検問を受けます。

これはパイレーツ(ゲリラ)チェック。

山岳地帯などに、金目のものを狙ったゲリラがいるため、一人ひとりのIDを確認するらしい。

すべての車を停めて、身分証を確認。

僕たちもパスポートを提示します。

高額商品や、地方のカカオ農民に渡す代金が狙われやすいとのこと。

こういうときにドライバー氏が警察官だとスムースに通過できるようです。

Alex本人も、地方に行くときは自分では運転せず、警察官兼業のドライバーを雇うそう。

上の記事にあったように、教授の給料が$40というくらいだから、こうしたドライバーをするほうがよほど稼げるのかもしれません。

ガーデンシティと呼ばれるアラグア州マラカイ市を経て、中南米のスペイン支配からの独立を指揮した英雄シモン・ボリバルが最後に戦った戦場でもあるカラボボ州へ。

目指すパタネモ村はカラボボ州にあります。

ベネズエラ第二の港街プエルト・カベヨを通過して、

ようやくパタネモ村の入口に到着。

ここの干潟には、なんとフラミンゴの群れが。

まさか野生のフラミンゴに会えるとは思ってもみませんでした。

どうやら渡りの途中らしく、パタネモのシンボル的な鳥のようです。

こちらはショウジョウトキ。

同じ干潟で餌を啄んでいましたが、フラミンゴと同じく餌となるエビやカニといった甲殻類や藻類などを摂取することで赤い羽毛になるそうです。

ベネズエラは中南米でも屈指の自然の宝庫なんですね。

そこからいよいよパタネモの村に入り、今宵のかわいい宿へチェックインを済ませたあと、すぐにカカオ農家さんに会いに行きます。

Day2後編へ続く