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【検証】高性能グラインダー性能比較「コマンダンテ」vs「タイムモア」

コーヒーマニアの皆さんであれば、ハンドミルの選択に頭を悩ませたこともきっとあるはず。

各社様々な製品を出していますが、今回はその中でも世界最高峰と言われるドイツ製「コマンダンテ」と、それと比べると廉価でありながら性能には定評がある「タイムモア」を比較してみたいと思います。

コマンダンテは正規輸入品だと最低でも5万円台からとお値段も最高クラス。
果たしてこの価格でも納得いくような違いが得られるのか。
やっぱり実際に飲み比べてみないとわかりません。

ネットで検索するとコマンダンテやタイムモアの素晴らしいレビュー記事はたくさんヒットするので細かいところはそちらに譲りますが、ざっと仕様と外観を見ていきます。

比較するのは次の2モデル。

・コマンダンテ C40 MK4 ニトロブレード カッパーマウンテン
 製造国:ドイツ
 粗さ調整:約40段階(最大約100段階くらいまで可能だが実用的なのは40くらいまで)
 容量:約40g
 価格:5万円台〜

・タイムモア 栗子C3 Max
 製造国:中国
 粗さ調整:約36段階
 容量:約30g
 価格:約1万円

【コマンダンテ C40 MK4 ニトロブレード カッパーマウンテン】
付属品
・ビーンジャー(粉受け)x 2(ガラス製とBPAフリーポリマー製)
・シリコン製滑り止めバンド
・フェルトマット

手に持つとこんな感じ。
直径61mmと太めなので、手の大きい人はしっかりと握りやすい。
逆にちょっと手が小さめの人だと力が入りづらいとの声も。
滑り止めのシリコン製バンドもいい仕事をします。
※滑り止めバンドかと思ったら、どうやらリストバンドも兼ねているらしい・・

ガラス製の粉受けを装着した場合で615g。
ポリマー製粉受けの場合だと568gでした。

底部の粉受けを外し、挽目調整ダイヤルを反時計回りに回していくとこのように分解できます。
パーツ数も少なく、容易に清掃可能。

【タイムモア 栗子C3 Max】
付属品(写真なし)
・ブラシ
・収納袋
・粉受けx1

コマンダンテに比べると直径52mmと細身。
手の小さい方には握りやすいと思います。
筐体はアルミ製で全面に凹凸加工がされており、滑りにくく力が入りやすい。

約508gとコマンダンテよりも100gほど軽いです。

タイムモアもコマンダンテとほぼ同じ構造。
部品点数は1点多いですが、分解清掃はコマンダンテ同様に容易です。

両製品とも底部の粉受けを外すとダイヤルがあり、これで粒度を調整します。
どちらもカチカチと小気味よいクリック感。
このダイヤルを反時計回りに回転させていくと前掲の写真のように分解できます。

内刃の比較。
左がコマンダンテ、右がタイムモア。
形状は似ていますね。
ここに両社の技術の粋とノウハウが凝縮されているのでしょう。
どちらも迂闊に刃に触ると切れそうなほど鋭く切削されています。
コマンダンテの内刃はニトロブレードと呼ばれていて、同製品を特徴づける最も重要なパーツのようです。
窒素を添加しながら精製されたステンレスで、硬度が非常に高いとのこと。
ちなみに、タイムモアの内刃はステンレス製で55-58HRC(ロックウェル硬さ)。
コマンダンテは58ロックウェル硬さ、とのことなので、コマンダンテがやや硬い、ということでしょうか。

概要はこれくらいにして、実際に挽いて飲み比べてみましょう。

CTでは中粗挽きでポアオーバーを提供していますが、コマンダンテでは30(〜31)クリック、タイムモアでは18クリックくらいが相当していたので、それで抽出していきます。

挽くときの力としては、コマンダンテの方が若干軽く、サクサクと切っているという印象を受けます。
一方タイムモアは少しザクザクと砕いている感が。
逆に時間はタイムモアの方が少し短い結果になりました。

※両手で持って挽くとハンドルも本体も両方、互いの反対方向にぐるぐると振り回す動きになります。
コマンダンテもタイムモアも内蔵する刃自体の直径はほぼ同じですが、本体の直径はコマンダンテの方が大きいです。
タイムモアは本体直径が内蔵する刃の直径に近いため(刃の直径と本体直径の間の余白が少ない)、すぐに豆が刃に触れて落ちていきますが、コマンダンテは豆の残りが少なくなってくると遠心力で本体内を豆が空回りし、なかなか下まで落ちていかず、時間がかかったようです。まあそこまで気になるものでもありません。

上記写真の左がタイムモア、右がコマンダンテ。
最下段はコーヒーシフターで分離した微粉です。

どちらの製品も粒度の均一さ、微粉の少なさを謳っていますが、微粉の量にそれほど大きな違いはないように見られますね。

次に、粉の断面を拡大して見てみます。

こちらはコマンダンテ。
カッターでスパッと切られたようにきれいな断面が多いですね。
粒度も揃ってます。

そしてこちらがタイムモア。
こうして見てみると、コマンダンテに比べると潰されたような荒い断面が多いような印象を受けます。
粒度もコマンダンテに比べると少しばらつきがあるようです。

※この写真では少しタイムモアのほうが粒度が細かいように見えたので、このあとタイムモアの粒度を一段上げてiPhoneで撮影してみましたが、断面・粒度のばらつきには同様の違いがありました。

さてこれが風味にどう影響するか、全く同じ条件で抽出して飲み比べてみたのですが、これが驚きの結果に。

両製品ともに微粉を取り除かないものと、微粉を取り除いたもの、さらに微妙に挽目を調整し、ポアオーバーで何度か比較試飲してみたのですが、6回ブラインドテストを行って6回とも見事正解。

わずかな違いですが、コマンダンテのほうがよりクリーンでとろりとした滑らかさと甘さを感じ、それと比較するとタイムモアの方はほんの少し、舌を刺激するような雑味のようなものを感じました。

微粉を取り除いたものでの比較ではその差はさらに小さかったのですが、やはり判別は可能でした。

くどいようですが、その差はわずかです。
タイムモアでも十分きれいな味わいを表現できると感じます。
この価格差でここまで迫っていると考えれば、素晴らしい製品だと思います。

ということで結論。

今回の検証で、改めてコマンダンテが究極のグラインダーと絶賛される理由を実感できました。

両製品の挽くときの力加減や時間、微粉の量には大きな違いはないかと思います。
おまけにコマンダンテは携帯性が今ひとつだったり、ブラシも収納袋も付属してきません(それだけ性能面に振り切っているとも言えますね)。
それでももし、味をとことん極めたいのであれば、そしてお財布が許すのであれば、コマンダンテはGOだと思います。

検証前はどこまで違いが出るのか半信半疑でしたが、わかるものですね。

これが粉の切断面の違いによるものなのか、粒度のバラつき度合いによるものなのか、微粉の量によるものなのか、そこまでは不明です。
あるいはそれら全ての要素が組み合わさあった複合的なものなのかもしれません。

ある程度様々な器具を試し、自分なりの淹れ方を追い込み微妙な違いを感じ取れるようになってきたら、ぜひ入手して損はないと思います。

「うん、美味しいね」が、「うわー、美味しいね!」になる、と言ったら伝わるでしょうか。

コマンダンテ。

プレゼントでおねだりするのも気が引けるお値段なので、ぜひお小遣いを貯めてご自分へのご褒美として。

一生付き合うパートナーとして入手してもきっと後悔はしないと思います。

タイムモアは携帯用に、コマンダンテはお家用に、と使い分けてもいいですね。

【まとめ】

コマンダンテ
<メリット>
・頭一つ抜けたクリーンで繊細な味わいを表現できる
・径が大きく、手の大きい人には握りやすい。また豆の投入も容易。
・最大約40gまでの豆が挽ける
・より軽い力で挽ける
・ビーンジャーが2本付属
<デメリット>
・2度見するほどの価格
・携帯性・収納性は今ひとつ
・ブラシ、収納袋は付属しない(別売)

タイムモア
<メリット>
・優しい価格(とお値段以上の高級感)
・径が小さく、手の小さい人には握りやすい
・携帯性が高い(特に上位モデルはハンドルを本体に固定したまま折って収納できる)
・ブラシ、収納袋が付属する
・コマンダンテには劣るものの、それでも十分軽く挽ける
<デメリット>
・コマンダンテと比較すると、わずかだがクリーンさに欠ける(というよりもコマンダンテが頭抜けちゃっているのでしょう)

ちなみにこちらはCTが取り扱うタイムモアの上位モデルの一つ、【C3S MAX BLACK】。
こんなふうにハンドルを折って収納可能。
秀逸!
収納袋とブラシはどのモデルにも付属しています。

蛇足:
ちなみに私はコマンダンテの携帯性・収納性を少々持て余し気味だったので、色々探してこんなケースを入手しました。

コマンダンテ専用というわけではありませんが、全てスッキリと収まります。
他にもいろんな形状のケースがありますが、ご参考まで!