
Le Nez du Cafe(ル・ネ・デュ・カフェ)導入しました
「Le Nez du Cafe(ル・ネ・デュ・カフェ)」
あまり聞き慣れない名前でしょうか。
これ、コーヒーのアロマのトレーニングキットなんです。

ワインにおいては、その複雑なブーケ(香り)を嗅ぎ分ける能力が、プロのソムリエやワインアドバイザーには必須。
そんなワイン業界で世界中のプロフェッショナルに必携の教材があります。
それが「Le Nez du Vin(ル・ネ・デュ・ヴァン)」というアロマキット。
ワイン鑑定家ジャン・ルノワール氏が世界で初めてワインの香りと嗅覚を結び付けるトレーニングキットを研究開発し、生み出したものですが、以来世界中のソムリエやワイン愛好家に高く評価され、ワインのアロマサンプルのモデルとして、40年以上のロングセラーを誇るそうです。
近年のコーヒー業界も、スペシャルティコーヒーに代表される高品質な豆の流通量が増え、まさにワインと同じようにテロワールやテイスティングが語られるようになりました。
一昔前は「苦い、酸っぱい」などとしか語られなかったコーヒーの味わいが、現在では「甘味、酸味、苦味、ボディ、香り」と、より細かく分けられ、さらに「オレンジのような」「フローラルな」などの表現でその特徴が表されるようになっていますね。
そんな時流に呼応して、ジャン・ルノアール氏と彼のチームによって生み出されたコーヒーのアロマキットがこの「Le Nez du Cafe(ル・ネ・デュ・カフェ)」。
SCAA(アメリカ・スペシャルティコーヒー協会)の推薦教材でもあります。

このアロマキットには、36種の野菜、スパイス、動植物、花、果実、ローストなどの香りが含まれています。
その香りはこちら↓
土、じゃがいも、豆、きゅうり、わら、ヒマラヤスギ、クローブ、胡椒、コリアンダー、バニラ、アカフサスグリ、コーヒーの蕾、コーヒーの果肉、クロサスフグリ、レモン、アプリコット、リンゴ、バター、蜜、革、バスマティ米、トースト、麦芽、メープルシロップ、キャラメル、ダークチョコ、ローストアーモンド、ローストピーナッツ、ローストヘーゼルナッツ、ウォールナッツ、ビーフ、煙、キセル、ローストコーヒー、薬、ゴム
一通りすべてのアロマを試してみましたが、お菓子などに使われるようなわかりやすい「ザ・香料」的なものではなく、繊細なものは繊細に表現されていて、さすがはプロが愛用するトレーニングキットだなという印象。
この中で私がなかなか記憶と結びつかなかったり他のアロマと感違いしたものは、コーヒーの果肉、ブラックカラント、バター、レザー、トースト、モルト、ウォールナッツ、でした。
そもそもブラックカラントの香りとかあまり嗅いだ記憶がないものもありますし、コーヒーの果肉は私の持っている印象とはだいぶ異なるものだったりしましたが。

アロマって、普段は口にしたものや嗅いだものを視覚や味覚、触覚などの他の感覚と合わせて複合的に認識していることが多いのかなと思います。
逆に、アロマだけを嗅いでそのもととなるものを、記憶を頼りに頭の中の引き出しから引っ張り出すのって、なかなか難しい。
時々ありませんか?
「これどっかで嗅いだことのある匂いなんだけど、んー・・なんだろう・・モヤモヤする・・」
ってこと。
このモヤモヤをできるだけなくし、嗅いだアロマを記憶と結びつけてぱっと的確に特定できるようになるには、普段から意識的にアロマを認識し、記憶し、理解するトレーニングが必要です。
逆に言うと、トレーニング次第で嗅覚は鍛えることができる、ということなんですね。

CTでもそうですが、スペシャルティコーヒーが普及するようになってから、それぞれのコーヒーの風味の特徴として「オレンジのような」「ジャスミンのような」「りんごのような」「チョコレートのような」などの表現がされるようになってきていますね。
コーヒーにはおよそ1000種を超える香りの成分が含まれると言われていますが、こうした表現はその数多ある香りの要素の中から、特にそのコーヒーを特徴づける際立った香りを、提供者側がカッピングで識別し絞り込んで、お客様にわかりやすく伝えるために行っているものです。
ですので正直なところ、大体何をあげたしても、絶対ハズレ、というわけではないと思うのですが(言ったもの勝ち、という方もいます笑)、ただそのコーヒーの支配的な香りの要素からあまりにもかけ離れたもの、例えばガンガンにダークローストの豆で「フローラルな」「レモンのような」などというのは論外として、より微妙なところで例えば、ナチュラルのしっかり発酵の効いたミディアムローストくらいの豆に「フレッシュな青りんごのような」というような表現をした場合、果たしてそれがその豆の際立つ特徴を適切に表現したものか、ということになるわけです。
アロマはその人の主観や曖昧な記憶に影響されやすいのでこうしたことが起きるわけですが、私たち提供者側としては、できるだけその主観の影響を少なくし、より客観的に把握、表現できるように常に意識していないといけないと考えています。

少しお高い教材ではありますが、スタッフ全員でこのアロマキットを活用して私たちのアロマの記憶を補正し、その記憶と語彙を結びつけるシナプスを強化して、私たちのコーヒーの風味を、より適切・正確にお客様に伝えられるようトレーニングしていきたいと思います。
お店に置いてあるので、このブログを読んで気になった方はお気軽に声をかけてくださいね!
ぜひたくさんの方にも試していただきたいので。
ワークショップでも活用していこうと思います。

追記
個人的にもっとこのアロマサンプルを充実させたくて、ドライフルーツのオレンジ、オレンジピール、バナナ、ピーチ、クランベリー、レーズンのコレクションを追加しました。
ドライのベリー類は口に含む前のアロマは微妙で、どちらかというと口に含んだ後の鼻腔に抜けるフレーバーで感じやすいですが、とりあえずやってみました。
さらにアールグレイやベルガモットティー、ローズヒップやハイビスカスティーなどを加えようと思っています♪