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CHEMEX ケメックス 6カップ用 レシピ検証

ケメックス、というコーヒーメーカーをご存知ですか?

ケメックスは、第二次世界大戦中の1940年、アメリカの科学者ピーター・シュラムボーム博士によって考案されました。
この三角フラスコと漏斗を合体させたようなデザインは、実験室に転がっているフラスコをコーヒーメーカーの代用として日常的に使用していたことにヒントを得て製作されたそうで、以来80年以上にもわたりほとんどそのフォルムを変えずに世界中で愛されてきました。
またそのミニマムな美しいデザインと機能性が高く評価され、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やスミソニアン博物館等の永久展示品にも選ばれています。

イームズや柳宗理などのプロダクトデザイナーが愛用していたことでも有名。

余談ですが、ダスティン・ホフマン主演の「ジョンとメリー」(1969年)や最近ではクリストファー・ノーラン監督の「インターステラー」にも登場したりしています。

「インターステラー」(2014)

「ジョンとメリー」(1969)

実際、キッチンやテーブルに置いておくだけでインテリアとして成立するような美しい佇まいと存在感。

抽出する行為そのものにうっとりしてしまって雰囲気だけで満足できちゃうようなコーヒーメーカーです笑

そんなケメックス、コーヒー屋として無視するわけにはいきません。

クラシックスシリーズには、3カップ用、6カップ用、10カップ用という3つのモデルがあります。
※ここでいう「カップ」はおおよそ1カップあたり120ccを目安に考えます。

来客時などにもうちょっと大きめのサーバーがあると一回で淹れられて便利、かといって大き過ぎても場所をとるしな、というところで6カップ用がちょうど良さげだったので購入したところ、思った通りのサイズ感!

片手で自然に持ち上げられるのもこれくらいが限度かと思います。

本体前面にデベソのような突起が付いていて、恐らくそれが抽出量の目安だと思うんですが、よくわからないので計ってみました。

デベソの下で約480g(cc)。

デベソの上で約600g(cc)。

そんな感じです。

スケールを持っていない方は覚えておくと便利かと思います。

では、レシピを検証していきます。

まずは、Hario V60で2杯取りする時のレシピをベースに考えます。

CRUISE TOWNでは、V60で2杯取りするとき、

粉:投入する湯量=1:18=25g:450g

で抽出しています。
この時の抽出量は、約400g。

ケメックス 6カップ用では、それよりもさらに多く抽出することを想定しますが、我が家のTimemoreグラインダーは、最大で豆30gまでしか挽けません。

ということで、この豆(粉)30gをベースにレシピを組んでいきます。

粉:投入する湯量=1:18=30g:540g
Timemoreの挽き目:22クリック(ナイスカットミル4.5〜5あたり)

レシピ
1投目:60g(蒸らし30秒)
2投目:215gまで(540gの約4割)
 液面が半分くらいまで減ったら
3投目:380gまで
 液面が半分くらいまで減ったら
4投目:540gまで
落ち切って終了。

湯温は、V60の時と同様に考えます。

※V60の抽出レシピはこちらでご紹介しています。
https://cruisetown-coffee.com/news/61aa9eeed5ffeb6a1f2a9098

ちなみに、Hario V60で一杯取りする時は、3投で終わるようにしていますが、2杯取りの場合は4投に分けています。
というのも、2杯取りの時に3投で終了しようとすると、3投目に投入する湯量が全体の6割ということになり、通常のスピードで注ぐとドリッパーにお湯がたまり過ぎ、その分抽出が薄くなってしまうから。
基本的に回数を分ければ分けるほど、濃く抽出されます。

ではケメックスで抽出していきます。

専用ペーパーフィルターはこんな箱デカい箱に入っています。

知らなければまさかこれがペーパーフィルターだとは思えません笑

開くとこんな感じ。

しっかりとした厚手の和紙のような紙質で、一枚の正方形の大判の紙が四つ折りになっているだけというシンプルさ。

というか、なかなか贅沢な紙の使い方です。

これを折り紙を折る時のように、袋状になっている部分に手を入れて膨らませ、漏斗状になるようにします。

折り目のついた部分を軽くしごいて、折り目のクセを伸ばしてあげます。

そうすると、必然的に3枚の紙が重なる側と1枚の紙だけになる側に分かれるのですが、この3枚の厚く重なった側をケメックスの注ぎ口に来るようにセットします。

ちなみにケメックスには、V60のように空気を抜くためのリブ(溝)がありません。

唯一注ぎ口についている深めの溝が空気の抜け道となっています。

ですので、ペーパーが3枚重なっている側を注ぎ口の溝に合わせることで、しっかりと空気の抜け道を確保するわけです。

続いて、V60の時と同様、お湯を注いでフィルターをリンスし、同時に本体を温めます。

と、ここで、お湯の抜ける速度が少し遅い?という印象を受けたため、V60と比較してみることに。

まずはV60から。
100gのお湯を注いで落ちきるまでの時間を計測します。

V60は約20秒。

続いて、ケメックス。

おおっと。100gが落ちきるのに28秒かかりました。

これは全然違いますね。

ということは、ケメックスはV60に比べて抽出スピードが少し遅いため、それだけ長い間粉がお湯に浸っていることによって、コーヒー成分がより多く抽出されるかもしれないと想像できます。

そこで少しレシピを組み直しました。

粉:投入する湯量=1:19.3=30g:580g

※なぜ1:19=30g:570gにしなかったかというと、実は一度570gで抽出してみてまだ想定よりも少し濃い印象を受けたからです。

1投目:60g(蒸らし30秒)
2投目:230gまで(580gの約4割)
 液面が半分くらいまで減ったら
3投目:400gまで
 液面が半分くらいまで減ったら
4投目:580gまで
落ち切って終了。

それでは気を取り直して。

リンスしたお湯の入ったケメックス本体を軽く回して温めたらそのお湯を捨て、再度フィルターをセットし、挽いた粉をフィルターに投入。

本体を持って軽く振り、粉の表面を平らにします。

スケールを0リセットし、抽出スタート。

まずは最初の60gを投入。

30秒ほど経過したところで、2投目。

以降、フィルター内のお湯の量が半分くらいに減ったところで3投目、4投目と投入していきます。

4分20秒くらいで落ち切って終了。

抽出量は525gとなりました。
※上の写真は抽出の終わったペーパーフィルターを取り除いた状態。

V60で2杯取りするときは、お湯を450g投入して抽出量は約400g。

580g投入するのであれば抽出量は515gであればほぼ同じ濃度となるわけですが、それが525g。

まあ、こんなところでしょう。

飲んでみた印象は、V60の時よりほんの少しすべての風味の要素がしっかりと感じられるような気がします。

中浅煎りのAFTER SURF BLENDを試してみたのですが、このブレンドの特徴であるフルーティな酸と同時に、ボディも少し重めに感じます。

この検証でわかったことは、V60と比較すると抽出スピードが遅いため、V60と同じレシピで抽出すると濃度感が高めに感じられる可能性が高い、ということ。

そのあたりを念頭に置いて、コントロールしていくといいと思いました。

例えば、お湯の温度を低めにする、投入する湯量を多くする、粉を少なくする、粉の挽き目を少し粗くする、などです。

そもそも80年以上前に生まれてからほとんどのその形が変わっていないケメックス。

お湯の抜けが遅いと言うことは、注ぐスピードをそれほど繊細にコントロールできなくても、ある意味誰でも安定した味のコーヒーを抽出できる器具と言えます。

V60やオリガミなどのお湯の抜けがいい器具は、注ぐスピードのコントロール次第で、風味がガラッと変わってきます。

それが面白さでもありまた難しさでもあるわけで、近年の浅煎りのスペシャルティ・コーヒーなどは、こうした器具を使って狙った味を表現しやすいため、多くのサードウェーブ系のカフェで採用されているのです。

ですので、どちらかというと浅煎りの繊細なすっきりとした風味を楽しむコーヒーよりは、深煎りに向いているのかもと思いました。

とはいえ、あくまで好みの問題だと思います。

さらに言うなら、テーブルの上にすっと置かれたケメックスを眺めているとそんな細かいことどうでもいいじゃん、という気にもなってきます。

だってこの通り、そこにあるだけで美しいですから。