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コスタリカ〜ベネズエラ コーヒー・カカオ農園訪問記 コスタリカ滞在〜コーヒー農園訪問(前編)

この日は、いよいよコーヒー農園を訪れます。

訪れるのは、宿から車でクネクネ山道を3時間ほど行ったモンテヴェルデ雲霧林生物保護区の中にある「Cafe Monteverde」。

※モンテヴェルデ雲霧林生物保護区=世界一美しい鳥と呼ばれるケツァールが棲息し、エコツーリズムの代表スポットとしても紹介されるコスタリカで最も有名な生物保護区の一つ。

コスタリカの国の機関であるICAFE(Instituto de Café de Costa Rica)でPRされている8つの主要な生産地の一つ、グアナカステに隣接しています(他にタラス、ウエスト・バレー、トレス・リオス、トゥリアルバ、オロシ、ブルンカ、セントラル・バレーが指定)。

↑道中通過した放牧地。この放牧地が原生林の破壊に繋がったわけですが、現在は厳しく制限され、森林は回復傾向とのこと。またコスタリカは電力の98%を再生可能エネルギーで賄ってるって、凄くないですか?人口500万人(福岡県の人口と同じくらい)が四国と九州をあわせたくらいの国土に住んでいればこそできることなのかも。合わせて大規模な河川と雨、という条件にも恵まれているので発電電力の74%を水力発電が占めるとのこと。

↑標高1200m超に位置する農園までの最後の長い山道はかなりの悪路。農園に近づくと道路沿いにもコーヒー農園が現れる。

なんとか無事到着。めっちゃ人懐っこいシェパードくんがお出迎えです。かわえ〜♡

↑管理棟

↑受付・コーヒーラボの中。

Cafe Monteverdeは、農業・教育・観光の3つの活動を軸にサステナビリティとフェアトレードを実践するコーヒー農園で、12件の農家と20を超えるNGO、教育機関の協同組合でもあります。

農園全体で17ヘクタール。
マイクロミル(独自の処理設備を備えた農園)※として、コーヒー豆の生産から精製処理・乾燥、さらには焙煎豆の販売まで行うという、From Seed to Cup(彼らはFrom Farm to Cupと言っている)を地で行く農園です。

※マイクロミル
コーヒーが主要産業の一つであるコスタリカでは、8万件もあるコーヒー栽培農家のうち、90%以上は5ヘクタール未満の小規模農園であると言われています。
その多くが自前の処理設備を持っていないことなどから、農協や集荷業者、輸出業者などに「コーヒーチェリー」を売り、彼らは集めたチェリーを巨大な工場で加工処理します。
このとき、チェリーの質や標高の違いによる品質の差異はあまり考慮されず、せっかく高品質な豆を作ってもそれが収入に反映されることがなく、多くの農家はこれまで苦しい経済状況に置かれてきました。
こうした状況に対して、2000年代前半頃から、身近な生産者たちがグループを形成し、小さな処理設備を備えて、自身の育てた個性ある高品質コーヒーに付加価値をつけるという動きが見られるようになってきました。
これはコスタリカで「マイクロミル革命」と呼ばれていて、スペシャルティコーヒーの普及とともにマイクロミルの数も徐々に増えてきているそう。

この農園は一般の人向けにもガイドツアーを行っていて、今回はそれに参加します。

この日は、僕たちの他に、オランダからのカップルとベルギーからの親子、合計6人。

僕たちのようなコーヒー業界の人間ならまだしも、一般の人がこんな山奥まで延々と続くガタガタ道を運転して来るという熱意に敬服。

ガイドはセルジオさん。

まずツアーの最初に、コーヒーラボの小部屋に案内され、そこで組合の説明、コーヒーの歴史や種類、生産国などについて15分ほどのレクチャーを受けます。

この農園(組合)のLIFE(Low Impact for Earth)と名付けられた教育事業は、主に国内外の学生を対象に持続可能な農業についての講座を行っているそうで、ただコーヒーを生産するだけでなく、対外的な教育にも相当力を入れていることが特徴的。

道理でセルジオさんは知識が素晴らしく豊富で、またその熱意も強く感じられるわけです。

僕たちが日本から来たということを知ると、日本贔屓なのか、南米で著名な日本人モチベーションスピーカー(横井研二さんという方らしい)の名前が出てきたり、日本は資源は乏しいのになぜこんなに発展したのかとか、脱線が止まらなず、他の国からの参加者が同席する中、ちょっと恐縮してしまう。

南米では日本といえばdiscipline(規律)と教育、という事になっているらしく、とにかく教育の重要性をしきりに強調していたのは、この農園の運営方針と彼自信のこれまでのバックグラウンドからきているのかもしれないと感じました(コスタリカは国としても高校までの教育を無償化しているので、あるいは国民全体でしっかりとしたコンセンサスがあるのかもしれません)。

レクチャーが終わると農場に出ます。

ここはアグロフォレストリー(森林農法)を実践する農園で、農園全体で、雲霧林の面積が半分以上を占めるように管理されています。

モノカルチャー(単一栽培)での低品質コーヒーの大量生産ではなく、収量は少なくても森林の維持と他作物との混栽により持続的で高品質・高付加価値なコーヒーの生産に努め、農家さんの収入と周囲の環境・生態系とのバランスを図っています。

次に育苗棚へ。

↑日除けネットをかけた育苗棚の中。

芽出しで2ヶ月、10cmほどになるのに5ヶ月、肘の長さほどの高さになるのに10ヶ月、その後農場に定植して収穫できるようになるまで種を撒いてから4年。つまり収益を生むようになるまで4年。

茅ヶ崎でおイシイ農園さんが育てたコーヒーは、初めて結実したのは苗から育てて5年後だったと聞いていましたが、産地ではやはり少し早いようです。

さらにコーヒーというのは、収穫後すぐに生豆として出荷できるわけではなく、収穫後の精製処理で更に何ヶ月もかかる。

僕たちも、おイシイ農園さんのコーヒーの精製処理をさせていただきましたが、最終的にグリーンビーン(生豆)を得るのに、長いもので収穫後2ヶ月ほどかかりました。
(パルパーや脱穀機などの専用の道具が揃っていないこともあって、少量でもめちゃくちゃ手間がかかりました・・)

それだけ手間と時間のかかる農産物なわけです。

続いて堆肥・発酵槽小屋へ。

籾殻、米ぬか、ホエー、糖蜜、森の腐葉土などを混ぜて何日もかけて発酵させ微生物を培養した肥料、家畜の糞やコーヒーパルプ(果肉)、パーチメントなどを無駄なく活用したコンポスト、硫黄と石灰を使ったオーガニック殺菌剤など、そのレシピも含めて事細かくレクチャー。

まるで明日からここで働く勢いです笑

Cafe Monteverdeの農場は、まだ地力が不十分でコンポストや堆肥だけではコーヒーの木の健全な生長に必要な養分が足りないとのことで、完全にオーガニック化できているのは一部のエリア。

いずれ農場全域のオーガニック化を目指し、ステップ・バイ・ステップで少しずつ進めているそうです。

↑肥料の発酵槽。豆の発酵槽ではないみたい。

ちなみにCafe Monteverdeは、周囲の農家を招いてランチ付きの無料ワークショップを実施し、こうしたノウハウを惜しみなく提供しているとのこと。

彼らの究極的な目的は結局のところ、環境にとっても人間にとってもバランスの取れた持続可能な農業を模索し広めることであり、それだけ近年の気候変動に強い危機感を抱いているということがセルジオさんの言葉の端々から聞き取れます。

コーヒー業界では今、「2050年問題」といわれる問題が注目を集めています。
気候変動の影響で、2050年には全コーヒー流通量の約6割を占めるアラビカ種の栽培に適した土地が半減する、というものです。
その最前線にいる彼からの切羽詰まったようにも聞こえる言葉の説得力には敵うものはない、と感じました。

続いては、いよいよモンテヴェルデの雲霧林の中を抜けて、完全オーガニック試験栽培区画へ。

↑雲霧林の中で、ハキリアリの行列に遭遇。

実物を見るのは初めてです。

ハキリアリもコーヒーと重要な関係性があるとのこと。

森の木を全て伐採してプランテーション化すると、ハキリアリはそのエリアのコーヒーの葉に集中して大きな被害をもたらすため、大金をはたいて農薬を使うことになる。

一方で、周囲に森を残すアグロフォレストリー式だと、ハキリアリのターゲットが森に分散するため、コーヒーの木は大きな被害を避けられ、農薬を使う必要も生じない。

さらにコーヒーの木にとっては、葉を適度に切り落とされるとむしろ刺激となり、より多くのチェリーを実らせるそう。

こちらが試験栽培区画。

品種はカトゥアイですね。

ここで少し収穫体験をさせていただきます。

ぼくらが収穫したのは、完全オーガニック栽培7年目のエリア。

↑国別に分かれてヨーイドンで収穫開始。セルジオさんは日本チームに加勢してくれました笑

まだまだ緑のチェリーが多いですが、中には色づいているものもあり、それを収穫していきます。

赤く熟したチェリーを食べてみましたが、酸味はなく少し青っぽさのある甘さ。

これは茅ヶ崎で育ったコーヒーとほぼ変わらない印象でした。

酸味のある果肉のコーヒーってあるんだろうか。

コスタリカのコーヒー収穫期は、通常11〜3月ですが、気候変動の影響で徐々に早まってきているとのこと。

↑収穫期にはこのカゴ一杯まで摘む作業を何度も繰り返すんでしょうが、今日のところはここまで笑

収穫体験が一通り終わったところで、セルジオさんが近くの木の高い枝で警戒音を発するハチドリに気づきます。

近くに巣があるかもしれないということで、周囲を見渡してみると・・・

なんと、直ぐそばのコーヒーの木の枝に直径5cmほどの小鉢のようなハチドリの巣が!

どんだけタイミングがいいんだ笑

2羽が可愛らしくピタッと並んで寝ています。

顎を上げて嘴を上に向けてる状態?苦しそうだけど。

よく見ると細くて白い糸が見えますが、これは蜘蛛の巣の糸だそうですよ。

この農園でもなかなか見れるものではないらしく、とてもラッキーとのこと。

おそらく収穫の時期には巣立ってしまうのかもしれません。

雲霧林には900種以上の鳥類が確認されていて、ハチドリも30種を超えるそう。

カナダから渡ってくるハチドリもいるらしい。

雲霧林とコーヒー農園が共生している証の一つを見てもらえたと、セルジオさんも少々ドヤ顔でした。

後編に続く
https://cruisetown-coffee.com/news/657d546ee217852830d9f32b