コスタリカ〜ベネズエラ コーヒー・カカオ農園訪問記 コスタリカ滞在〜コーヒー農園訪問(後編)
前編からの続きです。
前編はこちら
https://cruisetown-coffee.com/news/657d21bc6a8b0d0ff3944e46
↑こちらはカットバック(切り戻し)したコーヒーの木。数年経って収量が落ちてきた木を一旦根本からバッサリ切り落とすと、幹から新芽が出てきて、また元気に結実するようになります。木の寿命を延ばす効果も。
↑コーヒーの大敵、サビ病。
発病してしまった場合は、60%は前編で紹介したオーガニック殺菌剤で対処しているが、残念ながら必要に応じて農薬もある程度使わざるを得ないとのこと。
オーガニック=無農薬ではないですからね。
↑土壌の流出と乾燥を防ぐため、足元はどこも下草の緑に覆われています。
シェードツリー(バナナ)※の植樹や混栽(じゃがいも、コーンなど)を行い、栽培エリア内でのモノクロップ(単一栽培)による土地の疲弊を極力避けています。
※アラビカ種は直射日光に弱いため、適度に日光を遮る木(シェードツリー)が必要
こちらはイエローカトゥアイという黄色に熟す品種。
イエローカトゥアイは品質は高いが、レッドカトゥアイに比べて雨に弱いため、生産者はあまり育てたがらないとのこと。
トマトと同じで雨がふると実割れが起きます。
しかしピッカー(収穫労働者)に十分な賃金を払わないと、雨の日に働いてもらえない。
つまり十分な賃金を支払って雨の日にも収穫してもらうことで、結果として品質と収量を確保し、収益を上げられるわけですね。
この後、農園のヤギさんニワトリさんにご挨拶して、ミル(精製処理場)へ。ちなみにこの動物たちも農園の生産物の多様化に貢献しています。
ピックしたチェリーはこの四角い箱に入れて計量。
これに基づいてピッカー(収穫労働者)の賃金が決められます。
※現在、コスタリカのピッカーの60%が、隣国ニカラグアからの出稼ぎ労働者。
今はコスタリカ人で農園で働きたがる人は少なく、20%くらい。
残りはそれ以外のカリブ海諸国からとのこと。
3K、という感じなのでしょうか。
セルジオさん自身も少年の頃ニカラグアからコーヒーピッカーとして出稼ぎに来ていたそうで、その縁でここで教育のサポートを受け、ガイドとして働いているそうです。
ちなみにCafe Monteverdeはもう何世代にも渡って、ニカラグアのオメテペ島出身の収穫労働者との付き合いを続けているとのこと。
最低賃金(minimum wageと言っていたけど、この箱一杯でいくらね、という法定レートがあるのだろうか?歩合ということですよね)は一箱$2だが、Cafe Monteverdeではそれにプレミアムを載せて$3支払っているとのこと。
一箱分を収穫するのに必要な時間は約30分。
加えてCafe Monteverdeでは、収穫期間中、ピッカーの交通費・宿泊費・コーヒー・食事代・水道光熱費など滞在に必要なほぼ全てを無償提供。オメペテ島からの料理人も雇っている。
それがなければ一箱$5が相当だろうと。
ちなみにコスタリカの最低賃金は2020年時点で$3.5/h。
1時間で2箱分収穫できるとするなら、時給換算で最低で$4/h。
この農園では$6/hを支払っていることになり、加えて収穫期間中の滞在経費一切を農園が負担しているので、かなり上乗せしていることがわかりますね。
実際には収穫カゴが一杯になるごとにここに運び込むわけで、その往復の時間もかかるでしょうから、それを入れて時給計算するとここまでにはならないかと思いますが、それでもかなりのプレミアムかなと思います。
↑手回し式パルパー(コーヒーチェリーを果肉とパーチメント豆に分離する機械)。上のホッパーにチェリーを投入し、ハンドルをぐるぐる回すと、果肉とパーチメントに分かれて排出されます。
↑パルパーで果肉から分離された、僕たちが収穫した豆(パーチメント)。
↑パルピング後の果皮・果肉(パルプ)は全てコンポストへ回します。
↑こちらはコーヒー豆の乾燥台。通称アフリカン・ベッド。ここ以外にもっと広い乾燥パティオがあるようなので、これはあくまでビジター用かもしれません。
↑熊手で定期的に撹拌して、水分値12%程度になるまで均一に乾燥させます。これはウォッシュド(パルピング後、パーチメントの周りに付着しているヌルヌルしたミューシレージを水で綺麗に洗い落としてから乾燥)の豆。
↑こちらはハニーの豆。ミューシレージを残したまま乾燥させたもの。残り少なかったから説明用に残してあったのかな?
コーヒーラボに戻る途中、彼の上司が相当年季の入った三菱パジェロに乗って農場を出ていくのを見て、笑いながらも真剣な表情で語った言葉が忘れらせません。
「ボロボロでしょ?でも私たちは高級車にかけるお金を、よりよいコーヒーを作り、よりよい賃金を生産者に払い、よりよい環境にしていくことに使いたいと考えているんです」
ここまで熱く話してきてくれた全てのことが、この一言に集約されているような気がしました。
↑ラボの焙煎機。Cafe Monteverdeで生産した豆は、輸出のほか、ここで焙煎したものを販売し、さらにカフェを自社経営したりしています。文字通り「From Seed to Cup」の農園ですね。
最後に簡単なカッピング。
同じ豆の浅煎りから深煎りまでフレンチプレスで抽出したものと、ハニープロセスとナチュラルプロセスのものを。
浅煎りはレモンのような柑橘の爽やかな酸味とさらりと軽い甘さ。
僕はやはり浅煎りが好みだったのでそれを伝えると、「日本人は浅煎り好きですよね!」とのこと。
以前来た日本人も浅煎り一択だったそう。
CTに来られるお客様を見ている限り、どちらかというと深煎り好きの方のほうが多いので、そうでもないとは思うんですけどね笑
たまたまかな。
↑コスタリカ伝統の「チョレアドール」という抽出器具。長いネルドリップといったところか?
ガイドはここまで。
みっちり充実の2時間半。
その後僕たちはセルジオさんや農園の方たちと話し込んだので気がついたらあっという間に3時間が経過。
外はもう日が暮れかけています。
またあのガタガタ道を3時間かけて戻らなければならないし、ガソリンが少なくなっていたことを考えると、遅くなる前にどこかの街のスタンドを探し当てなくてはなりません。
ということで、これ以上長居もしていられず、実り多い時間を過ごした心地よい余韻とともに農園を後にしたのでした。
冒頭にも書いたように、Cafe Monteverdeはコーヒー農園であるというだけでなく、エコツーリズムと教育をうまくその運営に取り入れたモデルを構築しています。
観光が大きな産業であり、教育に力を入れるこの国だからこそのメリットを最大限に活用しているなと感じましたが、国土が四国と九州を合わせたくらいとコンパクトなので、他にも同様の運営をしている農園は多いのかもしれません。
そして何より、持続的なコーヒー生産に真摯に取り組み、そのノウハウを惜しみなく周囲に伝えていこうという熱意に打たれました。
ここの農園から豆を買付る、というよりは何はともあれまずコーヒー生産の現場を見てみなくては、という勢いで行ったので、豆というよりは農園の概要にフォーカスした内容になりましたが、なんとなくでも伝わったでしょうか。
(ただ最後のカッピングで飲ませていただいたコーヒーも申し分なく美味しかったので、買付もしてみたいなと。やはり素晴らしい生産者さんと出会って「顔の見える取引=ダイレクトトレード」をして、日本の消費者の皆さんに直接お届けしたい、というのが目下の夢です。)
さらに言うと、本来ならコスタリカのベストシーズンに入る、なおかつコーヒー豆の収穫期に入る11月中旬〜3月の間くらいに行きたかったんですが、そうなると宿泊費がバカ上がりしちゃうので、泣く泣くその直前の渡航となったことを書き添えておきます。
行けただけでもありがたい・・・!
旅は続く。
https://cruisetown-coffee.com/news/65a3cf7007a6e8288627f4fa